ゴルフのアイアンクラブを選択する場合、ロフト角の立った飛び系アイアンにするか従来のロフト角を持つアイアンにするか迷うところです。
私の持っているミズノ社製のモデルMP-55の7番アイアンはロフト角が34度の従来ロフトですが、飛び系の7番アイアンのロフト角は25度と、私の持っているものに比べ9度もロフトが立っています。
この25度のロフト角は従来のアイアンクラブでは4番アイアンに相当するロフト角になります。
飛び系アイアンの長所は、同じ距離でも短い番手で狙うことができる点であることは明白です。
従来のアイアンクラブではロフト角が立つにつれむずかしくなってくるのですが、最新のクラブやボールの技術革新により、クラブはより低重心設計でダウンブローで打つと言うよりは、むしろ払って打っていく打ち方で簡単にボールが捕まり、ボールも多層構造で反発性も高くなりボールも上がりやすくなっています。
しかし、アイアンに求めるものは、方向性と安定した距離感を出せることだと考えると、ただ飛ぶから飛び系のアイアンを選択するというのは考えものです。
又、ドライバーとパターを除いた残り12本のクラブセッティングにおいては、各クラブの飛距離を約10ヤードの範囲で打ち分けられるクラブセッティングを考える必要があり、ピッチングウエッジ以下の距離が長くなり、距離を合わせるウエッジが必要になってきます。
仮に従来のピッチングウエッジが100ヤードの飛距離を持つ人が飛び系アイアンを使用することで従来より約20ヤード以上飛距離が伸びた場合、120ヤード以下の距離を2~3本のウエッジで合わせていく必要があります。
ウエッジのロフト角が58度で約60ヤード飛ぶ人であれば、残り60ヤードを1~2本のウエッジで合わせる必要があります。
7番アイアン以降のクラブの飛距離を考える時、従来の7番アイアンで140ヤード飛んでいた人が、飛び系アイアンを使うことで160ヤード打つことができると仮定した場合、1番手で約10ヤード飛距離が伸びると、5番アイアンで約180ヤード打つことができる計算になります。
こうなると、200ヤード前後を狙うユーティリティーのロフト角は20度前後、ウッドのロフト角では約21度前後となります。
実際、ロフト角20前後のユーティリティーでボールの方向性と安定した飛距離を出すことはむずかしいと思います。むずかしいと言っても、ロングアイアンに比べれば易しく打てます。
飛び系アイアンの長所は同じ距離を、番手を落として打つことができる点ですが、クラブセッティングにおいてはピッチングウエッジ以下の距離合わせと5番アイアン以降のクラブセッティングがむずかしくなる可能性があります。
今までの仮定はピッチングウエッジから5番アイアンまでの距離で計算しましたが、6番アイアンまでの飛び系アイアンで仮定した場合、6番アイアンで170ヤード飛ぶ計算となり、180ヤードを飛ばすユーティリティーのロフト角は約22度前後となります。
ロフト角20度前後のユーティリティーに比べればやさしくなりますが、それでもボールの方向性と安定した距離を打つのはそう簡単ではありません。
上記のように、飛び系のアイアンを選択する場合、距離に応じたクラブセッティングがむずかしくなることが欠点であると思います。
女子のプロ選手でも今は6番アイアン以降はユーティリティーやロフト角のあるウッドを使用しているプロが増えています。
これは、ユーティリティーがミドルアイアンやロングアイアンに比べ易しく打てるからです。
しかもラフやバンカーからでもソール幅が広いユーティリティーの方が失敗も少なく安定した距離を打つことができるからだと思います。
我々アマチュアにとってもユーティリティーは大きな武器になります。
しかし、ヘッドスピードが速くない我々アマチュアが、易しく、しかもラフやバンカーからボールの方向性と安定した距離(150~180ヤード)を稼ぐユーティリティーのロフト角は30度~23度(メーカーによっても違いがあります。)範囲ではないかと思います。
飛び系アイアンを選択してしまうと、我々アマチュアが易しく打てるユーティリティーのロフト角が使えなくなってしまう点だと思います。
私の知人や倶楽部仲間の中にも、飛び系アイアンに替えてプレイを楽しんでいる方はいらっしゃいますが、替えた多くの方はクラブセッティングを変えています。
飛び系アイアンで7番アイアンのロフト角が25度の例を挙げて長所と短所を説明しましたが、7番アイアンのロフト角が30~35範囲であれば、易しく打てるユーティリティーのロフト角を活かすことができると思います。
飛び系アイアンを選択する場合の参考になれば、幸いです。
飛び系アイアンを選択する場合には、飛距離も魅力ですが、全体のクラブセッティング(飛距離)を考えることも大切です。